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(2)シンカーブロック設置起重機船の選定

 

浮防波堤を現地に設置するに際して、シンカーブロックの設置作業は現地工事の工程の中で大きなウエイトを占める。
防波堤設置場所は洋上の海象状態の悪い海域での工事であり、シンカーブロック設置作業は港内での作業に比べ、ある程度の荒天の波浪中でも施工可能な優れた工法でなければならず、また使用する作業船の選定は重要な問題である。

 

シンカーブロックを設置する起重機船として具備すべき性能として、次のようなものが挙げられる。

 

1)基地港から現地までの回航に際して耐航性の優れた構造形式であること。

 

2)シンカーブロックを吊り上げることが出来ること。

 

3)波浪中での施工が可能な事。
一般的には船体寸法の大きいものほど波浪中での動揺が小さく、施工性が優れている。また、波浪中ではブーム長さが長いほど吊荷(シンカーブロック)が振れて作業性が劣るため、可能な限り短ブームであること。

 

4)設置作業が迅速に精度よく施工出来ること。
フック、係留設備(ウインチ等)のスピードの早いもので、且つシンカーブロック設置位置調整が素早く出来ること。

 

5)付帯作業が迅速に施工出来ること。

 

 

国内で稼働している大型起重機船は大きく分けて次の2種類がある。
1)シヤーレグ式起重機船……… 能力最大4,100t吊
2)旋回式起重機船 …………… 能力最大1,600t吊

 

前述の具備条件で比較すれば、旋回式起重機船が断然優れている。また、海外でのオフィショアー工事のクレーン作業はほとんどが旋回式起重機船で施工されている。

 

本工事のシンカーブロックは空中重量2,505tであり、旋回式起重機船では台船で海上運搬したシンカーブロックを直接吊り上げることは出来ないが、設置工事の稼働率を確保することを第1とし、施工は旋回式起重機船を使用することとした。
シンカーブロックの水切りは、輸送をセミサブバージを使用して現地付近の海域でバージを半没状態にして、シンカーブロックの浮力と起重機船とで着水させるものとした。

 

 

 

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